第二次大戦後、当時の第一線で活躍した建築家の手による建物が数多くあるパームスプリングス。20世紀半ばのアメリカのモダニズムを代表するカルチャーメッカです。州道のハイウェイ111号線から街に到着すると、かつてのトラムウェイ・ガソリンステーションのユニークな建物がすぐに目に付きます。これは、20世紀半ばの名建築家、アルバート・フレイが1965年に設計したもので、現在は、パームスプリングスビジターセンターとして使用されています。この前衛スタイルこそが、この地域の修景を特徴付けています。パームスプリングスの市庁舎でさえ、すべてが鋭角の大胆なカットアウトと円を組み合わせた前世紀半ばのミッドセンチュリーモダンのデザインです。
ビジターセンターではまず、街の案内地図であるマップ・オブ・モダン・パームスプリングスを入手してください。ジョン・ロートナーやリチャード・ノイトラといった影響力のある建築家が手がけた建造物など、ぜひ見学したいスポットが掲載されています。また1か所でいろいろな洞察を得たければ、パームスプリングス美術館の建築デザインセンターがお勧め。1961年に建てられたE.スチュアート・ウィリアムズの設計による、かつての銀行を再利用しています。
"Imagine women in pinched-waist dresses reclining on pink chaises, watching the desert sunset over very dry martinis."
より深い理解を得るなら、専門家が案内するツアーに参加しましょう。パームスプリングスモダンツアーまたはザモダンツアーの両者が、ガイド付きツアーを用意しています。ランチョミラージュにあるクラシックなエステート、サニーランズにも足を伸ばしてみてください。ここは、出版界の大物であるウォルター・アネンバーグと妻のレオノアのために建築家のクインシー・ジョーンズが設計した大邸宅で、見学ツアーが催されています。マッドメンのファンにはたまらない場所です。ウエストをきゅっと絞り込んだドレスに身を包んだ女性が、ピンクの長いすに身を横たえ、度数の強いドライマティーニを片手に砂漠の日没を眺めるシーンが、まさにサマになりそうです。
最先端のアートシーンに触れるなら、バックストリートアートディストリクトを訪ねましょう。数多くのデザインショップの中から、ヴィンテージなスタイルの掘り出し物がきっと見つかります。レトロな雰囲気に浸りたいなら、パームスプリングスで毎年開かれるモダニズムウィークをお見逃しなく。建築物のツアーのほか、人気の装飾店や美術品のディーラーによるアートセールなどが楽しめます。パームスプリングスのモダンスタイルを完璧に味わうには、宿泊施設にもこだわりたいもの。サグアロやエースを初めとする、ミッドセンチュリーのスタイルを美しく修復したホテルやモーテルで、往時の家具やおしゃれなプールに身をゆだねてください。あるいは、シナトラの伝説的なツインパームエステートで一夜を過ごす世紀の大散財も、極め付きの価値ある体験です。ピアノを象ったプールでの時間は一生の思い出になるでしょう。